• by DAVID BOWIE.

2016年01月14日

★ / DAVID BOWIE

前作からおよそ3年、David Bowie(デビッド・ボウイ)の新作『★』(ブラックスター)。
様々なキャリアを重ねてきたデビッド・ボウイの最後のアルバムである。





サウンドチェック


#「★」


#「Lazarus」


レビュー

相変わらず格好いいが、よくわからないというのも正直なところである。
でもそれは間違っていない感覚だと思っている。新作における方向性の確認はよくあるが、このデビッド・ボウイという特殊なアーティストには不要だ。よくわからなくていいのだ。

冒頭の#「★」は、不穏なサウンドがじわじわ聞こえてきてすぐ、独特のヴォーカルとともに展開していくスリリングなトラックだ。一貫して不穏な世界観かと思いきや、10分近くに及ぶ構成の中に、しかと光る星(=ブラックスター)が存在している。声も、サウンドも、これぞボウイだとも言えそうなところもありつつ、予測できない面もボウイこそのものだ。

ミドルテンポの#「Lazarus」は、ボウイの声がよく聴こえる。舞台作品でもある「Lazarus」は、60年代に書かれた物語がインスピレーションになっているようだが、ますます理解するのが難しい。

#「Sue(Or In A Season Of Crime)」は、前作との間にリリースされたベスト盤の中に新曲として収録されていたが、今作ではサウンド構成がガラリと変化している。ジャズのエッセンスがこれでもかと濃かったものが抑えられ、タイトなロック要素が強く押し出されている。これはこれで格好いい。

#「I Can't Give Everything Away」はポップな印象を受けるものの、"私は全てを与えられない"と繰り返し歌うところに、ひねくれとは異なる、何か意味深めいたものを感じる。

今作のアルバムは、ジャズに傾倒している(あるいは要素を入れた)という事前情報があったが、当然のごとく覆された。想像に及ばないにしても、この変化球をさらに変化球にさせるボウイの発想は唯一無二と言えるだろう。

全7曲で収録曲数は少ないが、それ以上の何かがこのアルバムにはあるはずだ。

デビッド・ボウイがやりたかったこと、伝えたかったこと、それらを探し出す旅が始まっている。



01. ★
02. 'Tis A Pity She Was A Whore
03. Lazarus
04. Sue(Or In A Season Of Crime)
05. Girl Loves Me
06. Dollar Days
07. I Can't Give Everything Away

--

CHANGES



1月11日、予約していたにもかかわらず、実際の到着より遅れていた『★』をようやく受け取り、どんなアルバムになっているのか楽しみに開封しようとした矢先、スマホにニュース速報が飛び込んできた。

"デビッド・ボウイが死去"

手に持っていたスマホもCDも落としかけた。

私が生まれる前から活躍されていた方なので、世間的に私は浅いファンかもしれないが、DAVID BOWIEを知ってから、彼の楽曲を何度も再生し、何度も聴いてきたつもりだ。
なので、これほど楽しみにしていた好きなアーティストの死去が、"喪失感"というものなのか、本当にショックだった。

心臓の病気から復活し、前作の『The Next Day』(2013年)が凡そ10年ぶりのアルバムとしてアナウンスされたとき、このリリースを期に、体力をつけてツアーに乗り出すんじゃないか?!と、どこか勝手な妄想に浸ったまま、今回の『★』のリリース告知を知ってすぐに予約した。続けてツアーの発表もあり得るかもしれないという、さらなる勝手な妄想を抱いていた中で突然の訃報だった。

世間では「Let's Dance」が代表的な曲という扱いが多く見受けられるが、売上という一つの目安の中の扱いだろう。
だが、個人的に思うのは、彼の代表曲を選ぶのは難しい。もしかすると"無い"に近いかもしれない。
また、グラムロックとして活躍していた背景も事実かもしれないが、個人的には少し違う印象を持っている。



ライブパフォーマンスや、インタビュー記事、映像化されたメディア全てに目を通したわけではないが、彼は一貫して"変わっていない"と思う。
最後までグラム・ロックだったのか、中性的存在だったか、アイドルだったか、俳優だったか、優れたソングライターだったか。優れたソングライターなのは間違いないと思うが、そういうことじゃない。

それは『★』を聞けばわかることで、様々なスタイルやアプローチ、手法、思想、挑戦といった言葉が渦巻いている。
不思議で、奇妙で、変わっていて、それでも格好よくて。
つまり、デビュー時期から『★』に至るまで、"変わること"を"変えていない"ことを貫いている。
『★』はジャズに傾倒していることがリリース前に情報としてあったが、それは単に実験的なものではなく、関わったジャズバンドが若手ということに、地味かもしれないが驚いている。
自分の最後(命尽きること)をわかっていて、『★』に何かしらメッセージが残されているとは思うが、最後の最後にこのアプローチをしてきたのは、"変わること"を"変えていない"スタイルだからではないかと思う。
自分の昔の余計な要素を入れない為とはいえ、還暦を超えたようなアーティストは、大概ベテランとのタッグや共演、共同制作が多いというイメージを、少なくとも私の中では覆されている。
1971年にリリースしたアルバム『Hunky Dory』の「Changes」というトラックの歌詞の一節に、次のようなことを歌っているところがある。

"時は僕を変える。
でも僕は時に追いつけない。"


前後の歌詞、当時の背景、環境、自身の心情がどうだったのかはわからないが、妙にこの部分だけが頭に焼き付いている。
しっかりと現実を直視していることを意味しているのかもしれないし、意外とその現実に嘆いているのかもしれない。
本当の真意は結局のところわからないかもしれないが、捉える側として自由に解釈しようと思っている。

こんなアーティストはもう二度と現れることはないだろうと言われている。もちろん私もそう思っている。

ただ一方で、今後ユニークなアーティストがもっとたくさん出てきてほしいとも思っている。

"リスナー"も"ユーザー"になり、音楽業界の状況も、求める音も歌も"変化"していく。変わらないものもあるかもしれないが、どんな状況になっていくかはわからないが故に楽しみたい。

その中で、『★』を少しでも理解できればいいかなと思っている。


Rest In Peace, David Bowie.
(1947 - 2016)





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Posted by Takuji at 22:30 │Comments(0)音楽
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